(学生インタビュアー NPO法人九州学生ネットワークWAN 代表 指原 沙織 /北野 茉莉花)
お父様が『明太子』を開発されたと聞いておりますが、開発秘話を教えてください。
先代の父とは母は、韓国の釜山で生まれ育ちました。父と母は子供の時からキムチを食べていたんです。その当時のキムチは中に、スケソウダラの内臓とか卵が入っていたんですね。その後、戦争が始まり、父は沖縄の戦線から生き残って福岡に帰ってきたときに、今度は商売を始めようとしたんです。父は、今で言う九州電力さんのような電力会社のサラリーマンだったんです。父は戦争を体験して、人生観が変わり社会のために何かしなくちゃならないと考えたわけです。自分の考えを実現させるためには、サラリーマンでは出来ないだろうということで、自分でお金を稼ぐ商売人になったんです。ですから父は最初から商売人ではなくて、福岡に帰って来て商売人を志し、社会貢献できる会社を作りたいというのがスタートだったんですね。そうは言っても自分の生活があります。色々な会社と競争しないといけない中で、他の会社に無い商品をということで、自分が子供の頃食べていたキムチの中に入っていた「明太たらこ」を、日本人の口に合うように出したのが最初だったんですね。
御社の商品に対してのこだわりを教えてください。
「ふくやの明太子」は開発から約10年間、味を色々と日本人の舌に合わせていったんです。最初に売り出したのが昭和24年の1月です。実は最初は売れなかったんです。なぜ売れなかったかというと、日本人の舌には辛すぎて合わなかったんです。それから明太子を食べて頂いたお客様から味を聞き続けたんです。売れ始めたのが昭和34、5年くらい。開発に10年間かかったということですね。今でも「ふくや」は直営店で、お客様に直接販売をするやり方を取っています。直接お客様に商品を出して、アンケートをとって今の味は良いのかの確認を取っているんですね。だから、卸を一切やっていません。卸をやると、どうしても直接、お客様の声が聞こえませんので。「ふくや」は店頭のお客様・通販のお客様から直接声が聞けます。そういったところをこだわっています。
現在、御社で力を入れていることはありますか?
当然、商品開発が一番です。明太に関しては品質を絶対に落とさないということです。それから、添加物も極力外せるような研究をしています。
接客で気を付けていることはありますか?
接客はたいへん大事ことです。お客様が商品だけではなくて、接客によって満足していただけるかどうか、気持ちよく買い物が出来るかどうかということが大切です。面白い事は接客する社員によって明太子という商品の味も値段も変わってくるということです。20数年前、「ふくや」がまだ店頭販売がよくない頃から、だんだん良くなりつつあった時に、店頭でアンケートを取りました。アンケートは、『明太子の味はいかがでしたか?』『価格はどうでしたか?』『明太子を販売した社員はどうでしたか?』という内容でした。社員の接客にマルを付けていただいたお客様は、ほとんどが明太子は美味しいとマルを付けていただき、値段も普通でした。社員の接客が悪いと評価されたお客様は、明太子の味は普通で価格は高いと評価されました。同じ時期に作った明太子でも接客する社員よって味も価格も変わるということが分かったんですね。ですから、接客というのは、携わる人達によって進化していかなくてはいけないと思うのです。
社員の方へ期待していることはありますか?
「ふくや」の場合は大体1,000人以上の方が求人に対して応募してくれます。そのうち、通るのが10人から15人です。上位100人〜200人は差がないですね。通る通らないは相性です。弊社の社員と応募してくれる学生さんとの相性です。縁があるか無いかのタイミングですよね。「ふくや」は終身雇用制です。一旦、入っていただいた社員は60歳の定年までいていただく。「ふくや」の社員は3年以前で辞める人は誰もいません。3年後、自分の夢があったら夢の実現に向けて勉強しなさいと言っています。そうじゃない社員は、60歳の定年まで男性も女性もいていいですよ。ということを言っています。ただし、会社というのは人間の体と一緒でどう病気になるか分からないし、どこでどう事故に合うかわからない。終身雇用制をとっている「ふくや」という会社が本当に60歳になるまで、絶対あると確定できません。ですが、今から入ってくる人達に対して我々は終身雇用制を取っていますと約束しています。となると、我々がしなくてはいけないのが、入ってきた人達が「ふくや」でなくとも、どこへでも通用する社員さんに育てなくてはいけないという事です。どこの会社でも通用する社員にするために教育をしていきます。「ふくや」が無くなっても、どこの会社からも引っ張られるくらいの力を付けさせるのです。終身雇用制を取っている限り、会社が伸びると同じように社員さんも伸びなければ、かえって「ふくや」にいづらくなります。だから終身雇用制と安心して入られても、「ふくや」の社員は入社してからずっと勉強しています。とにかく勉強しなくちゃいけない。要は仕組みになっています。ですから、「ふくや」になにかあってもどこの会社でも通用する社員に育てあげなければならない。望む事とはそういうことですね。
新卒の採用基準があれば教えてください。
採用基準はありません。当社は3次試験まであるんですね。1次は学科で半分位が落ちちゃうですけれども、ずば抜けて成績がいいとかじゃなくて平均点があればいいという考え方です。社員が試験官となり、科学合格した学生さんの中からこの人と一緒に仕事がしたいという学生さんをピックアップします。次に役員面接で、将来どういうことがやりたいのか、夢のある人、何がやりたいと明確に言える人、を役員がピックアップします。30、40人になって私が面接します。ここで、縁とか相性とかが出てくるのかなと思います。最終的に10人〜15人採用します。
≪インタビュー後記一言≫
初めてのインタビューで拙い部分があったにもかかわらず、川原社長には丁寧にインタビューにお答え頂いて感動しています。川原社長が発せられるお言葉の端々から、ふくやの社員の方へ対する気遣いと、商品へ対する愛情をひしひしと感じる一時間でした。
(NPO法人 九州学生ネットワークWAN 代表 指原 沙織)
株式会社ふくや
創業/昭和23年10月5日 資本金/3,000万円 事業内容/味の明太子の製造・販売 各種食料品の卸・小売 売上げ/平成17年度 181億円 従業員数/586名(正社員246名)※平成18年4月現在 本社所在地/〒810-8629
福岡市博多区中洲2丁目6番10号 TEL 092-291-3575(代表)


